「高緯度サンゴ群集域」の高知県土佐清水市のサンゴ(黒潮生物研究所提供)
サンゴは、地球の海洋面積のわずか0.2%未満ながら、海洋生物種の約25%の生息地として(注1)、海の生物多様性にとって重要な存在であることがわかっている。しかし、気候変動等の影響により、将来気温上昇を1.5℃に抑えられた場合でもサンゴ礁が減少する割合は約70~90%と推計されるなど(注2)、危機的な状況にあるのもまた、事実だ。
そこで注目されているのが、世界のサンゴ礁の分布限界よりも北に位置する、「高緯度サンゴ群集域」。今年1月にはサンゴの保全団体らによる、保護活動開始も決まっている。本記事では、高緯度サンゴ群集域と保護活動内容についてご紹介。
注1:wwfThe Economics of Worldwide Coral Reef Degradation
注2:ipccGlobal Warming of 1.5℃
サンゴ礁域と高緯度サンゴ群集域の違い
日本には、北は千葉県や神奈川県から、南は鹿児島県南部や沖縄県などの亜熱帯の島々まで、沿岸域を中心に広く、サンゴ礁の基礎をなすサンゴの種称であるとなる「造礁サンゴ」が生息している。しかし、地形のようなサンゴ礁が形成される海域は、基本的には鹿児島県の大隅諸島より南方の地域だけとなっており、このサンゴ礁が形成される海域を「サンゴ礁域」と呼ぶ。いわゆる、沖縄県や鹿児島県・奄美大島の周辺海域でダイビングやシュノーケリングをすると見るような、一面のサンゴ畑である。
一方、鹿児島県の大隅諸島より南方の地域以北のサンゴが生息する海域を「高緯度サンゴ群集域」と呼ぶ。この海域では、造礁サンゴが生息はしていても、サンゴ礁という地形が発達することはないのが通常。また、成長スピードも一年に数cmセンチメートルほどで、これが、仮に大きなサンゴ群集やサンゴ礁を形づくるには、何十年・何百年という長い歳月が必要なのだ。これらは、世界のサンゴ礁の分布限界よりも北に位置し、熱帯性・温帯性のサンゴの生息環境として貴重な存在であると注目されている。その地の海で育っているサンゴは、遠い場所から潮に乗って運ばれてきたものである例も少なくない。
WWFジャパンと黒潮生物研究所による保護活動が決定
今年1月、長年沖縄県石垣島等でサンゴの保全活動を行なう公益財団法人・世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)と黒潮流域の生態系に関する調査研究を行う公益財団法人黒潮生物研究所は
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ダイビングと海の総合サイト・ocean+α 「高緯度サンゴ群集域」って知ってる?世界的な保全団体も注目する理由とは
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