農業が盛んな地域といえば、地方をイメージされる方は多いと思います。しかし、東京のしかも23区内で、農業が盛んな地域があることを知っていますか?練馬区は都心から近い立地ですが、地域に密着した農業が盛んです。
そんな 練馬区で、2019年11月29日から12月1日の3日間、世界都市農業サミットが開かれます。 一般の方も参加できるイベントですので、どんなイベントなのかチェックしてみましょう!
目次
世界都市農業サミットは「都市農業の魅力を世界に発信・学習・発展させるためのイベント」
はじめに、世界都市農業サミットの概要や、開催の目的についてお伝えします。
開催の概要
こちらが、2019年11月に開催される世界都市農業サミットの概要です。
- 開催期間:2019年11月29日(金)~12月1日(日)
- 開催時間:29日(金)…19時~21時、30日(土)…9時~17時、1日(日)…10時~18時
- 開催場所:西武池袋線・都営大江戸線「練馬駅」の北口
(練馬文化センター、ココネリ3階、平成つつじ公園、練馬区内の畑)
ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントといった世界の5都市が参加し、互いの都市農業の取り組みを紹介し合う国際会議が開催されます。
また、練馬区名産の練馬大根を活かした「練馬大根引っこ抜き競技会」や、練馬区の野菜や参加国の料理を味わえる「ねりマルシェ」「ねりまワールドフェスティバル」など、 大人から子どもまで楽しめるイベントなど盛りだくさん です!
開催の目的
東京23区にある農地の面積は526.9haであるのに対し、練馬区はその約4割を占める215.6haの農地があります。練馬区のように、都市部から近い場所で農業が盛んに行われている地域は、世界的に見ても大変珍しいため、世界で注目されています。
「世界都市農業サミット in 練馬」は、そんな 都市農業の魅力を世界に発信・学習・発展させるために、開かれるイベントです。
練馬区が都市農業で注目されている理由は「都心での生きた農業」
練馬区は大都市に隣接しながらも、住宅地に溶け込んで農業を行う都市農業の代表として、世界的に注目されています。
練馬区の都市農業は、単に珍しいというだけで注目されているわけではありません。野菜の供給・防災・環境面で活躍する「都心での生きた農業」を行っていることが、一番の注目ポイントなのです!
それでは「都心での生きた農業」とはどういったものなのか、詳しく見て行きましょう。
注目ポイント1: 新鮮な野菜が手に入るコインロッカー式販売で「地産地消」
ニューヨークでは、新鮮な葉物野菜がとても高価だそうです。そのため一般市民が入手することが難しく、高級レストランでしか口にできないもののようです。
しかし練馬区では、地域のいたるところにコインロッカー式の野菜直売所があり、お金を入れるだけで市民がいつでも新鮮な野菜を買うことができます。
他県で生産された野菜ではなく、地元で栽培された新鮮な野菜を地元の人々が購入できる「地産地消」のシステムが注目されているのです。
地産地消は、新鮮なものを食べられるだけでなく、他県から野菜を運搬せずに済むため、運搬用のトラックが排出する二酸化炭素の量を削減できます。
農業体験園や体験イベントで食育
練馬区内には、農家の方が野菜を栽培する農地だけでなく、農業体験ができる農地も豊富にあります。しかもその数は、全国で最多の17園というのが驚きです。農地の所有者が一般の利用者へ栽培方法を指導し、利用者自らが栽培して収穫を体験できます。
毎年恒例になった「練馬大根引っこ抜き競技会」で収穫された大根は、練馬区内の小中学校の給食になり、子どもたちが地元の野菜に親しむ機会にもなっています。
自ら収穫した野菜を味わえるだけでなく、栽培過程や栽培の難しさを学べることから、子どもの食育になるとして注目されているのです。
観光農園もある
練馬区には、野菜や果物の摘み取りができる「観光農園」が38園もあります。東京都の観光農園は147園あり、練馬区はその4分の1を占めているのです。
都内で気軽に収穫体験できると人気で、ブルーベリーやミカンなどのフルーツの収穫ができます。練馬区では、都市農業が人と人との交流を生み出しているのです。
参考:練馬区公式ホームページ 練馬果樹あるファーム
行政と区民がタッグを組んで農家と農業サポーターをマッチング
農業が盛んな練馬区でも、農家の方の平均年齢は63.5歳と高齢化しています。そのため、後継者不足で農地が年々減少していく問題を抱えているのです。
その問題を解消していくために始まったのが「農の学校」。農業に関心のある区民を募り、農業について学べる場を提供しています。
練馬区の農家の方が講師を務める「初級コース」「中級コース1」「中級コース2」の全3コースを修了すると、「ねりま農サポーター」として区が認定。認定後は、手助けが必要な農家とマッチングされ、農業のサポートをします。
災害対策や環境保全に役立つ
農地は食料の供給面だけでなく、防災面・環境面にも必要な存在です。練馬区では災害対策のため、JAとタッグを組み、「災害時における農地の提供協力協定」を結んでいます。災害時に農地は、火災の延焼を防いだり、避難場所や食料の供給ができる場になるのです。
環境面では、農地が生き物の棲家となり、町の生き物の多様性を生み出します。さらに土の涵養(かんよう)作用によって、雨水をきれいにし、川や海の水質保全につながり、夏には気温上昇を抑制する効果も期待されているのです。
世界都市農業サミットin練馬の見所は4つある
そんな魅力いっぱいの練馬区の都市農業を体験できるのが、「世界都市農業サミット in 練馬」です。実際にどのようなことが体験できるのか、見所を4つご紹介していきます。
国際会議
国際会議は、30日(土)の13時から開催される分科会1・2・3と、1日(日)の13時45分からのシンポジウムで構成されています。世界5カ国の都市の農業関係者、研究者、行政担当者とともに、自国の都市農業の報告や課題、展望について話し合います。
会議と聞くと、一般の方は参加できないイメージがありますが、どの会議も誰でも参加できて、申し込みは不要、当日入退場も自由です。同時通訳もあるため、気軽に世界の都市農業について学べます。
練馬大根ひっこ抜き競技大会
練馬大根ひっこ抜き競技大会は、30日(土)の9時から正午ころまで開催されます。残念ながら、現時点では申し込みは終了しているため、参加することができません…。
しかし、一般的な大根より3~5倍引き抜く力を要する練馬大根を、参加者が必死に引き抜く姿を見るのも楽しそうですね。
練馬大根は、江戸時代から栽培されている野菜ですが、干ばつ・病気の蔓延、洋食化によって減少してきました。しかし近年では、練馬大根の栽培復活に成功し、生産本数も増加しています。
辛味があることから、大根おろしにして焼き魚に合わせると最適です。水分が少ないため、昔から「たくあん」にすると、パリっとした食感が美味しいとされています。
ねりマルシェ
1日(日)の10時~15時に、練馬駅北口ペデストリアンデッキと平成つつじ公園で開催されます。練馬区で収穫された農産物や、練馬区内のお店が練馬区の農産物を使って作った料理やお酒を購入できます。
キッチンカーでは、練馬大根などの練馬区の野菜料理も登場。さらにサミット参加5カ国の料理を、練馬区の野菜を使って提供しているので、このイベントならではの味を楽しめます!
ねりまワールドフェスティバル
1日(日)10時~18時に、練馬駅北口にある施設、ココネリ(Coconeri)の3階で開催されるイベントです。パンやチヂミ、ベーグル、チョコレート、コーヒーなどの世界の食品・お酒・雑貨の購入や、世界の民族文化を体験しながら学べます。
ベリーダンスやフラメンコなどのステージパフォーマンスも開催されるので、購入した食べ物や飲み物と一緒に楽しむのもいいですね!
「世界都市農業サミット in 練馬」から都市農業の魅力を知ろう!
東京のような大都市の農地を守ることは、容易ではありません。しかし農業には、人と人とをつないだり、食料を供給したり、防災や環境保全に役立つなど、様々な魅力があります。
都内在住の方は、都市農業の魅力に触れられる貴重な機会です。当日はわたくし「ゆみくろ」も参加してまいりますので、今後の体験レポートにもご注目ください!
参考:練馬区公式ホームページ 「世界都市農業サミット in 練馬」のパンフレット
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