糞が堆肥となってリサイクルされる、ということはよく聞きますが、実は色々なものにリサイクルすることができます。
特にゾウの糞は、リサイクルされて様々なところで活躍することは有名です。
排泄物までリサイクルできるのであれば、ある意味、究極のリサイクルと言えるのではないでしょうか。
では、ゾウの糞はどのようにリサイクルされ、どのように利用されているのでしょうか。
ゾウの糞が紙にリサイクル
ゾウの糞からできる紙は、タイのチェンマイで作られています。
ゾウ一頭の食事量は一日に200~250Kgほどで、糞の排泄量は50Kgほどです。
この糞から一日のうちに、なんと115枚もの紙が生産できるのだとか。
糞からできた紙、と聞いたら誰しも「臭いのでは?」と、疑ってしまうかもしれませんが、匂いはなく無菌であるそうです。
スリランカでは、この糞を使って「ぼくのウンチはなんになる?」という絵本まで作られました。
これは日本でも購入可能で、売り上げの一部は、ゾウの保護活動や子供たちの環境教育に使われています。
お子さんがいる方なら、試しに購入してみてはいかがでしょうか。
また、スリランカでは餌を求めるゾウが人の住む場所へ迷い込み、民家を破壊してしまったり、人の命を奪ってしまったりと言ったトラブルがあったために、人間とゾウの関係はそれほど良いものではありませんでした。
しかし、この糞から紙を生産する技術が誕生したことで、非木材紙の供給源として、ゾウと人間の関係性は見直されているそうです。
ゾウの糞から紙を作る手順
ゾウの糞から紙を作るには以下のような手順を踏むようです。
- 集めたゾウの糞を1週間水に浸す。
- 鍋の中に少量の水酸化ナトリウムを溶かしゾウの糞と1時間から5時間ほど煮込む。
- 繊維の部分だけを取り出し、古紙と一緒に水とよく混ぜる。
- 丁寧に漉いて水分を取ったあと陰干しやアイロンで乾かす。
- さらに日干しで乾燥させた後、仕上げられて出荷される。
ゾウの糞で自家発電
紙だけではなく、ゾウの糞で電気を作り出すこともできるのです。
正確には、ゾウの糞からメタンガスを生産し、それをエネルギーとするのです。
驚くことに、ゾウ一頭の一日分の糞で、二つの家庭の一日分のガスを賄えるそうです。
フランスにあるボーバル動物園では、ゾウやパンダの糞を使ってバイオガスを作り、これを使って園内の自家発電を行ってます。
ゾウの糞を設備の暖房や保温のエネルギーとして使い、余った電気を電気会社に売電までしているそうです。
ゾウの糞が食べ物に
なんとゾウの糞は食べ物にもなるのです。
タイに高級なコーヒー豆に「ブラック・アイボリー・コーヒー(Black Ivory)」がありますが、これはコーヒー豆をゾウに食べさせ、未消化状態で排出してもらい、糞の中から回収することで生産されます。
ゾウは消化を30数時間で行うそうですが、コーヒー豆は消化し切ることはできず、コーヒー豆に含まれるタンパク質だけが消化されるそうです。
そのため、蛋白質由来の苦味がなくなり、なめらかな口当たりと強い香りのコーヒー豆が作られます。
また、このコーヒー豆を使ったビールが2013年に、日本のビール製造所「サンクトガーレン」から発売されました。
エイプリルフールの企画として限定販売されたこのビールですが、大好評につき即日完売したそうです。
他にも、アフリカの東部ではゾウの糞を使ったお茶があります。
それは象糞茶(サバンナ・ティー)と言われ、1年間乾かしたゾウの糞を煮出しすることで作られ、味は紅茶に近いのだとか。
アフリカではゾウの糞を民間薬としても使われ、江戸時代の日本でもゾウの糞から作った薬丸「象洞」が売られていたそうです。
リサイクル可能なのはゾウの糞だけじゃない
ゾウの他にも、色々な動物の糞がリサイクルされ、様々な製品へと生まれ変わります。
中国ではパンダの糞を利用したティッシュペーパー、牛の糞から洋服の布地、野鳥の糞から化粧品など。
信じされないような話ですが、動物の糞は様々なものに再利用されているのです。
機会があれば、ぜひ動物の糞で作られた製品を利用してみてください。
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