社会問題として取り上げられることも多いゴミ屋敷。
ゴミ屋敷の住人は心の穴を埋めるためなのか、次々とゴミを集めては、捨てることなく、そこで生活を続ける。
普通に生活をしている人からすれば、それは奇妙な行動にも見えるかもしれませんが、何かしらの理由があるケースがほとんどなのです。
その理由の一つに病気が挙げられます。
ゴミ屋敷の住人は何らかの病気によって、ゴミを溜め続けていることがあるのです。
それでは、どのような病気によって、人はゴミ屋敷を作ってしまうのか考えてみましょう。
ゴミ屋敷を作ってしまう病気「ため込み症」
ゴミ屋敷の原因となる病気の中でも、有名なのがため込み症です。
ため込み症は、2013年にその名ができた病気で、その名前の通りにため込み続けてしまう病気なのです。
またの名を強迫的ホーディングとも言います。
この病気になってしまうと、ため込んだものに価値がなかったとしても、それを処分することに苦痛を感じて、捨てることができないそうです。
それにより、部屋中がものでいっぱいになり、部屋が部屋としての機能を果たせなくなります。
本人もそれを苦痛に感じながらも、どうすることもできないのです。
中には動物をため込んでしまう場合もあります。
犬や猫を多く飼い、十分に世話ができずに室内は不衛生な状態になってしまいます。
結果、ペットは体重が減り、病気になってしまうのですが、飼い主は自分の世話が不十分だと認識はなく、ペットに強い愛着を持っています。
そのため、ペットを手放すことなく、ため込んでしまうことがあるのです。
ため込み症の治療法
ため込み症だった場合は、簡単に治療することは難しいかもしれません。
なぜなら、本人はため込んだゴミをゴミと認識せずに、むしろ意味のあるものに囲まれて安心している状態であることが多いからです。
そして、ため込んだものを大切にしていることが多いため、治療に対して非常に警戒します。
強制的にゴミを撤去した場合は、ショックのあまり自ら命を絶ってしまう恐れもあるのです。
そんなことにはならないように、まずは専門の医師に相談するのが良いでしょう。
また丁寧なカウンセリングなどを利用することで、自発的に片付けられるように、少しずつ意識を変えていくよう促すようにすると良いかもしれません。
その他のゴミ屋敷と関りの深い病気
ゴミ屋敷を作ってしまうきっかけとなる病気は他にもあります。
もし、身近でゴミ屋敷の問題が発生してしまった場合は、何かしらの参考になるかもしれません。
鬱病
精神的な病の中でも有名な鬱病。
鬱病になってしまうと気力が起きず、マイナスなことばかり考えてしまいます。
そんな状態では生活もままならなく、食事はコンビニ弁当が多くなり、そのゴミを捨てる気力がないため、ゴミ屋敷となってしまいます。
認知症
加齢から脳に障害が起こり、知識や記憶力が低下してしまう認知症。
ゴミ屋敷の住人の中には老人も多く、中にはこの認知症が原因のこともあります。
認知症の症状のひとつに物忘れがあり、これによって曜日感覚がなくなることで、ゴミ収集日を逃し、家の中にゴミをため込んでしまうのです。
他にも食べ物を買ってきたことを忘れて、それが腐敗して不衛生な状態となってしまうこともあります。
統合失調症
統合失調症はストレスや疲労から発病してしまう病気の一つです。
症状としては、意識低下や感情の起伏がなるくなるものから、極度な緊張や奇妙な行動、幻覚や妄想にとらわれる、などがあります。
これらの病状の中に、ゴミをため込む、物を集めるといった傾向があり、ゴミ屋敷を作り出してしまうことがあります。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
ADHDは子供の頃から症状が出始める病気で、集中力がない、過活動、衝動性などの症状が見られます。
大人になっても治らないことがあり、通常の生活でもパニックに陥ってしまうことから、片付けを放置してしまうことがあるようです。
ADHDは、片付けられない症候群とも言われています。
セルフネグレクト(自己放任)
セルフネグレクトとは自分に関心がなくなってしまい、人間関係を自ら絶ち、日常生活にすら関心がなくなってしまうことです。
何から何まで投げやりになってしまい、食事も取らず、お風呂に入ることも、掃除をすることもしない、といった状態になってしまうのです。
結果、孤独死に至ると言うことも。
このセルフネグレクトは精神的に不安定になることから生活が荒れ、ゴミ屋敷を作り出してしまうのです。
まずは病院で相談
ゴミ屋敷の問題は簡単に解決できるものではありません。
病気であればなおさら難しいと言えるでしょう。
まずは病院など専門家に相談することで心のケアが必要ではないでしょうか。
また、ゴミの捨て方が分からない場合は不用品回収業者に相談することや、ゴミ屋敷の清掃業者にお願いすることもできます。
身近にゴミ屋敷の問題がある場合、自分自身がゴミをため込んでしまった場合も、まずは誰かに相談することが大切です。
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