この世界には、さまざまな動物が存在し、動物園で接することがあれば、家族として迎えることもあるでしょう。そんな親しみのある動物たちですが、中にはちょっと不思議で変わった動物も存在します。
東京農業大学農学部の松林尚志教授がちょっと不思議な魅力があるとして挙げた動物をご紹介します。
生物学者が選ぶ!ちょっと不思議な動物5選
それでは、ちょっと不思議な魅力を持つ動物、センザンコウ、メガネザル、ヒヨケザル、スパイ、スカンクの特徴をご紹介します。
センザンコウ
センザンコウは、鱗甲目に分類される動物で、腹面と四肢の内側を除く全身が、角質の鱗で覆われていることが特徴です。体長は75~85センチメートルほどで、体重は25~33キログラム。森林やサバンナに生息し、樹上棲で夜行性。昼間は地下に掘った巣穴や岩の隙間などで休みます。
シロアリやアリを専門に食べますが、その方法がまた特徴的です。センザンコウは歯が存在しないため、長い舌を伸ばし、それにアリを絡めて食べるのです。
センザンコウは絶滅危惧種に分類されますが、その原因は鱗が薬用や魔除けになると、人間に信じられていたことです。古来より医学的に薬効はないと確認されているにも関わらず、中国では漢方薬や媚薬の材料として使われ、2000年代に入っても密輸品が摘発されています。
また、センザンコウはアルマジロと非常に似ていると指摘されます。しかし、センザンコウは東南アジアやアフリカに、アルマジロは南米に生息し、まったく別の地域の動物です。つまりこれは、離れた地域に生息していても、近しい環境であれば、似たような進化が見られる例、と言えるのです。
メガネザル
メガネザルは、哺乳綱霊長目メガネザル科に分類される霊長類です。インドネシアやボルネオ島、フィリピン諸島に生息し、体重100グラム程度の小型の猿で、何よりも特徴的な部分はその名の由来になった大きな眼。
その大きさは眼球1つ3グラムと、脳の重さとほぼ同じで、頭骨を占める目の割合が大きく、これは珍しい特徴です。眼球はほとんど動かせませんが、代わりに首が自由に動き、180度回転させて真後ろを確認することも可能。これは夜行性に適するためのもので、逆に昼間は見えにくいと考えられています。
ヒヨケザル
ヒヨケザルは哺乳綱に分類される皮翼目で、東南アジアの固有種です。東南アジアの熱帯地方に生息し、フィリピンヒヨケザルとマレーヒヨケザルの2種が存在します。名前に猿と付きますが、キツネザルに似た頭部を持つからであり、見た目は猿とは異なる特徴を持っています。
最大の特徴は、首から手足、尾の先端にかけて飛膜と呼ばれる膜があることで、これを広げれば、100メートル以上の滑空が可能です。また、前歯が櫛のような形をしていますが、これは樹皮に広く傷を付け、樹液を出しやすくするためと考えられています。
ツパイ
ツパイは脊椎動物亜門哺乳綱の1目で、古くは「キネズミ」と呼ばれる、東南アジアの固有種です。見た目はリスに似ていますが、まったく別の動物で、細分化して何種類も存在しています。
何種類も存在するにも関わらず、生息の場、食性などに少しずつ違いがあり、これをニッチ文化と言います。同じ森で似たような種類も共存できる、多様性を高く保つ例として挙げられる動物です。
スカンク
スカンクは、ネコ目イヌ亜目スカンク科に属する哺乳類です。北アメリカから中央アメリカ、南アメリカにかけて生息することで知られるスカンクですが、東南アジアにもスカンクアナグマという種類が存在します。
スカンクと言えば、お尻から出る分泌液の悪臭が有名です。これは外敵を撃退する際に噴出するもので、硫化水素臭やにんにく臭など、さまざまなものに例えられます。その臭いは、数キロ先からでも「あ、いるな」とわかるレベルで、それが鼻につくと、なかなか離れることはありません。
そのためか、ほとんどの捕食者はスカンクを襲うことはありませんが、ワシやフクロウといった頭上から襲いかかる嗅覚の鈍い捕食者には効果がなく、餌食となってしまうことが多いようです。
不思議な動物はまだまだたくさん!
今回は、ボルネオ島を中心に研究を行う、松林尚志教授に不思議な動物をピックアップいただきました。そのため、東南アジアに生息する動物が中心となりますが、この世界にはまだまだ多くの不思議な動物が存在します。
動物たちの不思議な魅力を知ることは、多くの環境問題や取り組みにつながることにもなります。そして、そういった情報を広めることで、多くの動物が救われることになるかもしれません。ぜひ、多くの動物の魅力を知って、たくさんの人に広めてみてください。
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