アレルギーといえば、食事・花粉・ダニなど原因はさまざまです。最近子供のアレルギー患者が増えてきていますが、その原因は何なのでしょうか。多数ある原因の中でも、「環境要因」が大きく関係していると言われています。そこで今回は以下のラインナップで、子供のアレルギーについて解説します!
- アレルギーの仕組み
- 子供のアレルギー患者が増加している原因
- 研究機関で発表された子供のアレルギーの予防方法
なるべく我が子には、アレルギーを発症してほしくないものですよね。少しでも発症のリスクを抑えるために、ここでご紹介する対策を実践してみてはいかがでしょうか。
目次
アレルギーとは原因物質と抗体が結合して起きる反応
そもそも、アレルギーとはどんな仕組みで起きているのでしょうか。アレルギーは4つの型に分類されますが、ここでは一般的とも言えるI型反応(アナフィラキシー型)について、なるべくわかりやすく、解説していきます!
人間には、体内に異物が入ったときに反応する免疫システムが備わっています。しかしアレルギーの場合は、食物などの本来害のない物質に対して過剰に反応してしまい、かゆみなどの症状を引き起こしてしまう のです。
その仕組みは、以下のとおりです。
マスト細胞とアレルゲン
私たちの皮膚や粘膜など全身に、細菌やウィルスに対して感染防御機能を持つ、マスト細胞と言われるものがあります。
これが、食物や花粉などのアレルギーの原因となる物質(以降「アレルゲン」と言います)と反応することで、かゆみ・発疹などの反応を引き起こしてしまうのが、アレルギーの仕組みです。
アレルゲンに反応して作られる「IgE抗体」
人は、体内にアレルゲンが入ると、その種類に応じた「IgE抗体」というたんぱく質が作られます。
さらに、IgE抗体は全身のマスト細胞と結合して、アンテナのように張り巡らされます。
アレルギーの仕組み
その状態で同じ種類のアレルゲンが体内に入ってくると、体の至るところに張り巡らされたIgE抗体がアレルゲンと結合。
すると、マスト細胞が活性化され、かゆみ・発疹などのアレルギー反応を引き起こす、ヒスタミンなどの物質を放出してしまうのです。
このように、IgE抗体はアレルギーを引き起こす、大きな要因であり、アレルギーやアトピー体質の人には、このIgE抗体が血中に多く存在している、とも言われています。
子供のアレルギーが増えてきている原因は「食環境・住環境の変化と環境汚染」
アレルギーには、「遺伝要因」と「環境要因」の二種類があります。遺伝的要因とは、親がアレルギー患者の場合、子供にも遺伝する可能性が高いというものです。アレルギー患者を親に持つ子供は、遺伝的にアレルギーになりやすい体質である場合があります。
しかし、発症の引き金になるものは、環境要因である可能性が高いのです。環境要因とは、室内環境や、環境を汚染するさまざまな化学物質などの外部刺激のことを言います。
最近、子供のアレルギー患者が増えている原因は、この環境要因が大きく関係している可能性が高いのです。ここでは、アレルギー発症の原因になっている環境要因について紹介します。
原因1: 食品添加物の摂取
食品添加物は、食品を長持ちさせたり、見た目を良くしたりなど、現代の食品には欠かせないものとなっています。しかし 食品添加物の中には、アレルギーを誘発したり悪化させたりする可能性がある物質が含まれているとされているのです。
アレルギーの原因になるとされている食品添加物には、以下のような種類があります。
- 発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)
- 着色料(タートラジンなど)
- 食品保存料(安息香酸ナトリウムなど)
- 甘味料(アスパルテームなど)
原因2: プラスチックの可塑剤の摂取
塩化ビニル樹脂、壁紙、床材、玩具などのプラスチック用品に含まれる、 フタル酸エステル類の可塑剤(かそざい)は、アレルギーの発症・悪化に関係しているとされています。可塑剤とは、プラスチックを滑らかにするために使用する物質です。
ポリ塩化ビニル(PVC)製の床材を使用した住宅では、フタル酸エステル類がホコリに高濃度に含まれていることがわかっています。家のホコリを口から吸い込むことで、アレルギー発症や悪化の原因となる可能性もあるのです。
参考:国立環境研究所 アレルギー性疾患への 環境化学物質の影響
原因3: 建材の化学物質の吸引
木を貼り合わせた合板は、昔から建材に使用されてきました。板を張り合わせる接着剤には、膠(にかわ)のような天然の素材を使用してきたのです。
しかし現代の住宅では、化学物質で作られた接着剤が一般的となりました。フローリングなどの合板は、ホルムアルデヒドが含まれる接着剤を使用ケースもあります。
ホルムアルデヒドは気管を傷つけ、気管支喘息などのアレルギーを引き起こし、湿疹を悪化させる原因にもなるのです。
原因4: 住宅の気密性が高くなった
昔の家は木造であったり、隙間があったりして、通気性がよい状態でした。しかし現代の家は気密性が高いため、一年中快適な温度や湿度に保てます。
同時に、快適な居住環境によってダニが増殖しやすくなりました。ダニの死骸やフンがアレルゲンとなって、ダニアレルギーや気管支喘息を発症しやすくなったのです。
原因5: ディーゼルエンジンの排気ガスによる大気汚染
ディーゼルエンジンの車などが排出する、ディーゼル排気(DE)は、大気汚染物質として知られています。
ディーゼル排気(DE)は、アレルギー性の気管支喘息や、アトピー症状を悪化させることが過去の研究でも明らかになっています。
研究機関が発表した子供のアレルギー予防法
さまざまな環境要因によって、アレルギーが発症したり、悪化したりすることがわかっています。しかし、親としては何とか子供のアレルギー発症を防ぎたいものですよね。ここでは、(独)国立成育医療研究センターが発表した、子供のアレルギー予防法をご紹介します!
生後6カ月間の保湿でアトピー性皮膚炎の発症リスクを減らす
(独)国立成育医療研究センターは2014年に発表した論文で、生後6カ月間、子供の肌を保湿剤で保湿すると、アトピー性皮膚炎の発症リスクを3割も減少させられることを発表しました。
アトピー性皮膚炎を発症した乳幼児は、ほかのアレルギー疾患にもかかりやすいことがわかっています。実際、アトピー性皮膚炎や湿疹を発症した乳児の血液を調べると、卵白の抗体の量が多くなることが知られているのです。保湿でアトピー性皮膚炎を抑えられれば、ほかのアレルギー疾患の発症リスクを低減させられる可能性があります。
乳幼児期のウィルス感染予防や抗菌薬の多用を避けることで、気管支喘息の予防をする
気管支喘息は、乳児期にRSウィルスやライノウィルスなどのウィルス性感染症を繰り返すと、発症しやすくなるとされています。そのため、乳児期は手洗いなどでウィルス感染を予防することが大切 です。
また、乳幼児期に抗菌薬を多用していると、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの発症リスクが高まることもわかっています。ウィルス感染である風邪には抗菌薬は効かないため、使用を避けた方がよい のです。
参考:国立成育医療研究センター アレルギーについて
環境要因から子供を守るために、食・住環境の選択や風邪の予防をしよう!
子供のアレルギーの原因は、さまざまな環境要因が関係しています。大気汚染などの環境汚染は、直ちになくすことは難しいかもしれません。しかし私たち大人が、生まれてくる我が子のアレルギー発症や悪化を防ぐためには、食・住環境の選択や風邪の予防をすることが大切です。
毎日食べるもの、生活する場所を選ぶときは、購入前に製品情報を調べてみましょう。また、乳児期はなるべく人混みを避け、ウィルス性の感染症の予防をすることも大切です。少しでも、環境要因によるアレルギーの発症・悪化を防げるかもしれません。
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