1961年、人類が初めての有人宇宙飛行に成功してから、長い年月が経ちましたが、まだまだ気軽に一般人が宇宙旅行をするのは難しいようです。
宇宙旅行と聞くと、大変ロマンを感じますが、現実には厳しい生活がそこにあるだけのようです。
食事や睡眠も地上での生活のようには行かず、何をするにも一苦労なんだとか。
そんな数ある苦労の中でも優先して解決しなければならないのは「水を確保すること」だそうです。
その水の確保はリサイクル技術を駆使し、なんと「おしっこ」まで利用されているのです。
宇宙の生活におけるリサイクル事情は、どのようなものなのでしょうか。
宇宙では水はとっても貴重
宇宙では様々な物資が大変貴重なものになります。
もちろん水も大変貴重で、地上なら1リットルあたりの水は100円ほどで購入できますが、宇宙では同じ量の水に対して、100万円ほどの価値になるそうです。
なぜ、こんなにも水の価値が違うのでしょうか。
それは、輸送コストに莫大な金額がかかっているからです。
富士山の山頂まで登った人から「山頂の自動販売機で売られていた水は高かった」と聞いたことはないでしょうか。
これも理由は同じです。
富士山の山頂まで飲み物を輸送するコストがかかるために、料金が大幅に変わるのです。
そう考えると、富士山よりも高い場所にある宇宙に水を輸送するのが、どれだけ大変でコストがかかってしまうのか、イメージしやすいのではないでしょうか。
このように、宇宙で生活するとなると、水を確保するだけでも大変なことなのです。
そのため、宇宙飛行士たちは水だけではなく、多くのものを徹底してリサイクルしています。
おしっこまでリサイクル
宇宙でのリサイクルは、貴重な水を確保する手段の一つでもあります。
驚きなのは「おしっこ」まで飲料水としてリサイクルしてしまうことです。
宇宙ステーションには水のリサイクルシステムが搭載されていて、様々な水分を飲料水としてリサイクルされます。
汗や吐息に含まれた水分すらもエアコンで集めて、リサイクルすることで飲み水に戻すそうです。
では、どのようにおしっこをリサイクルしているのでしょうか。
まずはトイレで尿を回収します。
その後、それを蒸留することで水に変え、空気中から回収した水分と一緒にろ過、洗浄することで飲料水へと生まれ変わるのです。
おしっこで作られた水、と言われると、どうしても「変な味がするのでは?」と疑ってしまうと思いますが、それも問題がないようです。
都市で使われる排水プラントよりも進んだ浄水システムが使われているため、かなりクリーンな水なんだそうです。
また、この優れたリサイクル技術は災害時の際にも、水を確保するシステムとして利用することも期待されています。
宇宙ステーションは小さな地球
宇宙では水だけではなく、多くのものがリサイクルされています。
淡水ガス、残飯や排泄物など、どれだけリサイクルできるかが、宇宙の生活では重要なカギになるのです。
そして、この宇宙で使われているリサイクルシステムは、地球の生態系による循環のようなリサイクルを目指しているようです。
地球の生態系は太陽の光や雨によりできた作物を生物が取り込み、生物が排出したものをまた作物が取り込んで成長するなど、様々なものがリサイクルされて、循環しています。
宇宙の生活においても、小さな地球を作り出すかのように、宇宙ステーションの中で様々なものをリサイクルして循環させる研究が進められています。
地球に住む私たちの生活も、リサイクルを意識して生活することで、より無駄のなく快適な生活を目指せるかもしれません。
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