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可燃ごみの処理を学ぼう!練馬清掃工場の見学会をご紹介

練馬清掃工場の外観。周りを住宅地に囲まれている。

私たちが生活する上で、ごみはどうしても出てしまうものです。

そんなごみの中でも、一番身近とも言えるのが、可燃ごみではないでしょうか。

今回、練馬区内の家庭から排出された可燃ごみを中心に、年間で14万トンのごみを焼却している「練馬清掃工場」で、実際にどのような処理が行われているのか見学させていただきました。

可燃ごみがどのように処理され、どのように環境への影響を抑えているのか、その技術をご紹介します。

目次

練馬清掃工場を見学


2代目練馬清掃工場のジオラマ。

練馬清掃工場は、主に練馬区内の家庭から排出された可燃ごみを中心に、焼却処理を行っています。

操業開始は昭和33年で、何度か建替えを経て、2015年に4代目として竣工しました。

練馬清掃工場では見学会が行われており、職員の案内で工場内の見学ルートを巡ることができます。

エコトピアの取材に対し、工場長の稲井さんがご案内してくださいました。

練馬清掃工場には1年で約2,800人が見学に訪れるということもあり、かなり見応えがあるものばかりです。

見学はまず、工場内の設備や処理について、わかりやすくまとめられた説明ビデオを見ることから始まりました。


ビデオで清掃工場の仕組みをわかりやすく説明。

それでは、練馬清掃工場の様子をご紹介します。

環境負荷を抑えた可燃ごみ処理

まずはごみがどのように集められ、どのように焼却されているのかをご紹介します。

環境負荷を抑えるための様々な技術に注目です。

受入供給設備


プラットホームでは入り口で車両をセンサで感知して、収集車をごみバンカゲートへ自動誘導する。

ごみを燃やすために、焼却炉へ投入するということは、安易に想像しやすいと思いますが、それまでにも様々な技術が駆使されています。

まず、私たちが出したごみを集める収集車は、清掃工場にやってくると、プラットホームに入る前にごみ計量機によって、ごみの重さをはかります。

次にプラットホームと呼ばれる場所で、ごみバンカにごみを投入しますが、ここでは臭いが外に漏れないための技術が駆使されています。

それは出入り口に設置された高速シャッターとエアカーテンによって、できる限り外への臭気の漏洩を防いでいるのです。

また、プラットホーム内を常に負圧に保つことでも、臭気の漏洩を防いでいます。

800℃以上の焼却設備


巨大なクレーンがごみを焼却炉へ運ぶ。

ごみバンカでかき混ぜられた後、ごみは焼却炉へ投入されます。

このとき、ごみは巨大なクレーンによって、焼却炉まで運び込まれます。一回のキャッチで8トン掴むことが可能ですが、焼却炉がいっぱいにならないよう、一回で3トンほどのキャッチに調整されているそうです。

焼却炉では800度以上の高温で完全燃焼させることで、ダイオキシン類の発生を抑制しています。


焼却炉の仕組みについて説明してくださる工場長の稲井さん。
炉内体験装置はごみが燃える様子を体感できる。

見学では「炉内体験装置」で、ごみが燃えている様子を体感できます。

映像とは言え、炎に囲まれると熱が感じられるような錯覚を起こしたかと思えば、演出として温風が出ていました。

排ガス処理設備


煙突からは様々な処理を経た綺麗な空気だけが排出される。

焼却によって発生した排ガスは環境への影響を抑えるために様々な処理が行われます。

焼却炉から熱回収のためにボイラーへ移動した排ガスは、次に「ろ過式集じん器」という設備へ移動します。

そこできめ細かいろ布と呼ばれるフィルターを通過することで、ばいじんが除去されます。


ろ過式集じん器の中に設置されている「ろ布」が展示されている。
これにより排ガス中のばいじんが取り除かれる。

次に移動する「洗煙設備」では、排ガス中の塩化水素や硫黄酸化物などを苛性ソーダで洗浄し、中和処理が行われます。

さらに、触媒反応塔で、アンモニアと触媒の働きで、排ガス中の窒素酸化物が除去されます。

また、ダイオキシン類もここで分解除去されるのです。

こうして、綺麗になった排ガスが煙突から大気中に排出されます。

ちなみに、練馬清掃工場の煙突は高さが100メートルで、近くで見ると壮観です。

中央制御室で安全を監視


中央制御室で異常がないか24時間監視。

練馬清掃工場の中で行われる処理は、すべてこの中央制御室で操作と監視が行われています。

工場の設備は殆どが自動化されていますが、何か問題があってもすぐに対応できるよう、24時間監視が行われているのです。

エネルギー回収を徹底!


太陽光パネルで光からエネルギー回収。

練馬清掃工場のごみ焼却や排ガス処理は素晴らしい技術ですが、さらに驚くべきところは、ただ燃やして終わり、ということではなく、焼却の際に発生する熱を徹底的に回収し、エネルギーとして再利用していることです。

ごみの焼却時に発生した熱エネルギーは、ボイラー設備によって回収され、蒸気を発生させます。

その後、蒸気は蒸気タービン発電機によって、発電が行われるのです。

この熱エネルギー回収による発電能力は、最高で18,700kWとなり、この数字は一般家庭約45,500世帯分の電気をまかなう量となります。

他にも、屋上には230枚に及ぶ太陽光パネルが存在し、天気にもよりますが、60kWの電力(一般家庭約150世帯分)を発電可能です。

工場で使われる電力(約4,000kW)も、メンテナンス時を除けば、すべてこれらによってまかなわれているのです。

また、屋上には天窓があり、たくさんの光を取り入れることで、照明の使用を最低限に止め、省エネも実現しています。

緑化でヒートアイランド対策にも


緑化された屋上からは他の清掃工場の煙突も見える。

練馬清掃工場の最大の特徴は、周辺が住宅に取り囲まれている、ということです。

そのため、街並みに溶け込むための工夫として、緑化を積極的に行っています。

壁面や沿道に緑があり、屋上も緑化されています。

これにより、ヒートアイランド現象の抑制にも、一翼を担っているのです。

また、練馬清掃工場は比較的コンパクトな建物になっています。

他の工場よりも深い地下に設備を配置することによって、周辺環境への圧迫感を抑える工夫がされているのです。

練馬清掃工場を見学してみよう


ゲームで分別の大切さを学べる。

このように、練馬清掃工場は焼却技術と、環境負荷の低減、緑化などによる周辺への配慮など、様々な技術が駆使されていました。

他にも、見学ルートの中には、分別を覚えられるゲームなど、子供でも楽しめるような体感型のものもあります。

もし、周辺にお住まいで、清掃工場を見学してみたい、という方は練馬清掃工場にお問い合わせください。

きっと新しい発見やエコへの意識が変わるはずです。

参考:東京二十三区清掃一部事務組合 練馬清掃工場

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