スーパーで売れ残ったお惣菜や、レストランで食べ残されたものなどの、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品たち。これを「食品ロス」といいます。
日本の企業では年間約350万トンもの食品ロスがあり、少しでも削減すべく企業は様々な取組みをしています。そこで今回は、以下の4つのポイントについて解説していきます!
- 企業から食品ロスが出てしまう原因
- 企業が食品ロスを削減することのメリット
- 企業が行う食品ロス削減のための取組み事例
- 企業の食品ロスを削減するために消費者ができること
「企業から出る食品ロスは、わたしたち消費者には関係ない」と思われている方へ!この記事を読んで、今日から消費者でも始められることを、チャレンジしてみましょう。
目次
企業から食品ロスが出てしまう原因とは?
企業から食品ロスが出る原因は、業種別に異なります。ここからは、以下の3つの業種別に原因を解説していきます。
- 食品製造業
- 食品卸売業・小売業
- 外食産業
食品製造業から食品ロスが出る原因
まずは食品製造業から出る食品ロスの原因をご紹介します。
パッケージの印字ミス
パッケージに機械で印字していくときに、賞味期限の印字ミスが発生することがあります。 印字ミスをしただけで販売できなくなり、中身が安全でも袋ごと廃棄の対象に…。
重量や容量、パッケージが異なるなどの規格外品の発生
規格外品とは、商品ごとに決められた重量や容量、パッケージとは異なってしまった製品のこと。決められた重量や容量でパッケージされなかったり、パッケージの見た目が異なる場合は、流通できない商品なので、廃棄対象になります。
欠品を防ぐための商品の過剰生産
食品製造業者は、小売業者の発注量に対応できず欠品させてしまうと、「欠品ペナルティ」なるものが科せられ、発注者側に罰金を払うことになります。
そのため食品製造業者は、欠品させないように食品を過剰生産するのです。発注量より多くの食品を生産するので、あまった食品は処分されてしまいます。
食品卸売業・小売業から食品ロスが出る原因
次に食品卸売業・小売業から出る食品ロスの原因をご紹介します。
流通過程でおきる商品の汚損・破損
商品を運ぶときに、パッケージが汚れてしまったり、破損してしまったりする場合があります。汚損、破損した商品もまた、販売できずに廃棄の対象になってしまうのです。
売れる数の予測がはずれることによる売れ残り
ある商品に対して販売数を予測したものの、実際はそこまで売れなかった場合。在庫としてかかえた商品は、廃棄されてしまいます。
新商品発売にともなう旧パッケージ商品の撤去
同じ商品でも、パッケージを一掃して新商品として発売する場合、旧パッケージの商品は売り場から撤去します。パッケージが変わっただけで売れなくなり、食品ロスの原因に。
納品期限が切れた商品の受取拒否
納品期限とは、食品業界で決められた取引条件の一つ。食品製造業者は、製造してから賞味期限までの1/3以内に納品するというルールがあります。
小売業者は、どんなに賞味期限までの期間に余裕があったとしても、納品期限を過ぎた商品の受取りを拒否できるのです。納品できなかった商品は行き場をなくし、廃棄の対象になります。
外食産業から食品ロスが出る原因
外食産業では何が原因で食品ロスが出てしまうのでしょうか。
使われずに残った食材の廃棄と過剰な仕込み量
料理の注文個数を予測して食材を発注しますが、食材をきっちり使い切れずに廃棄対象に。さらに、品切れを防ぐために過剰に料理を仕込むため、残った料理は廃棄されます。
調理中に出た野菜のくずなど
調理中は大量の野菜の皮や、ヘタ、根などの野菜くずが発生します。本来は食べられるものでも、利用する店舗は少なく、ゴミとして廃棄されています。
お客さんの食べ残し
外食産業における食品ロスは、企業だけでなくお客さんの対応も問題になっています。自分が食べられる量よりも多くの料理を注文し、結局食べきれずに残してしまう問題です。当然、食べ残された食品は、廃棄の対象となります。
参考:政府広報オンライン もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう
企業が食品ロスを削減することのメリットは3つ
ぜひとも企業に食品ロスを削減してほしいものですが、手間もかかるので、企業側にもなんらかのメリットがあることが大切です。
ここでは企業が食品ロスを削減することのメリット3つをご紹介します。
食品の廃棄コスト削減
食品ロスを廃棄するにも、企業は廃棄にかかる費用を負担しなくてはなりません。食品ロスを削減することで、廃棄コストも削減できるメリットがあります。
企業イメージの向上
食品を取扱う企業なのに、大量の食品ロスを出していては、企業のイメージとしてあまりよくありませんよね。食品ロス削減の取組みを行っていることが消費者に伝わるだけで、企業のイメージアップにつながります。
日本の食料自給率がアップし世界全体の食料確保に貢献
日本は海外から多くの食品を輸入していますが、同時に大量の食品ロスを出しています。日本の年間の食品廃棄量は、飢餓で苦しむ国への食料援助量の約1.7倍とも…。企業の食品ロスを削減できれば、過剰な輸入をせずにすむため、世界全体の食料不足を防げるのです。
企業が行っている食品ロス削減の取組み事例
年間約350万トンもの食品ロスを、企業も黙って見過ごしているわけではありません。ここからは、様々な企業が取組む、食品ロス削減の事例を3つご紹介します。
セカンドハーベスト・ジャパンが行う「フードバンク」
認定特定非営利活動法人のセカンドハーベスト・ジャパンは、「フードバンク」という取組みをおこなっています。フードバンクとは、企業や農業、個人から出た食品ロスを引取り、食品を必要としている方へ届けるしくみのこと。
児童養護施設や、DV被害者のシェルター、路上生活を強いられている人たちへ食品を届けることで、食品ロスを削減するだけでなく、食品を手に入れたくても難しい方々への支援につながっています。
2011年におきた東日本大震災では、トラックで170回も被災地へと食料を運び、被災者の支援に貢献しました。
参考:セカンドハーベスト・ジャパン 食べ物の問題・フードバンクとは
森永乳業の「長期保存できる豆腐」の開発
豆腐の賞味期限は冷蔵で5~10日程度と短く、うっかり食べらなくなって廃棄してしまうことも。しかし森永乳業は、常温で約7ヶ月もの保存ができる豆腐を開発!
特許を取得した独自の製造方法と、無菌状態で紙パックへ充填する方法によって、長持ちする豆腐を作り出しました。これによって豆腐の販売期間が長くなり、食品ロスの削減に貢献しています。
参考:森永乳業 森永とうふのヒミツ
マクドナルドが行った「ハンバーガーのオーダーメイド方式」
ファストフードは、注文を受けてからすぐに商品を提供することが重要なため、「作り置き方式」をとる店が多くあります。マクドナルドも以前は、作り置きして10分を超えた商品は廃棄していました。
しかし2005年からは調理システム「メイド・フォー・ユー(MFY)」を導入し、注文が入ってから作り、50秒で商品を提供する、「オーダーメイド方式」へ移行しました。
食品ロスを減らせて、なおかつ作りたての商品を短時間で提供できるとは、企業側にもお客さん側にもメリットの高いシステムといえますね。
参考:マクドナルド 環境への取り組み
企業の食品ロスを削減するためにわたしたちができること
企業は様々な取組みによって、食品ロスを削減していますが、わたしたち消費者にはなにかできることはないのでしょうか。
実は以下の3つのポイントに気を付けるだけでも、企業の食品ロスの削減に、十分貢献できるのです。
- あえて賞味期限が近いものを選んで安く買う
- 傷のついた野菜や形の悪い野菜も買う
- 飲食店での過剰な注文はひかえる
これらのポイントに気を付けて、少しでも日本の食品ロスの削減に貢献しませんか?あなたの毎日の小さな積み重ねが、世界の食料確保に大きく貢献するかもしれません。
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